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スクラップ・アンド・ビルド

そろそろ季節労働が始まるので
日本出国しました(8月16日)。

年々老いゆく親を残し、
実家を後にするのは後ろ髪ひかれる…

日本に早く帰れるようそろそろ考えないとなあ…
この歳で再就職なんて難しすぎるよね。はあ~(ため息)



さて、空港(出国後)でこそ、本を買いたいところ。
(消費税払わなくていいからね~)

出国ゲート(関空の)出てすぐのところにあった
小さな本屋がなくなったのが残念でならない。

売店で、「文藝春秋9月特別号」を買った。

芥川賞受賞作 2作とも全文掲載、
作家のインタビュー記事まであるのでお得。

せっかくなので、まだ読んでなかった
「スクラップ・アンド・ビルド」を読む。

羽田圭介さんの短編。


一気に読めて面白かったですが、
感動とか心を揺さぶられるとかは
ありませんでしたね…

(介護する家族に迷惑がかかるし)死にたいと
度々口にする祖父を、主人公とその母(祖父にとっては実の娘)が
暴言吐きながら介護してる内容なんですがね…

暴言がひどくて胸が痛んだけど、
ワタシだって、介護する立場になったら
親に暴言吐いてしまうのでせうかね?

で、そのじいさんが、けなげなんだけどクセモノ。
じつはボケたふりして、か弱く見せてるだけなのか?
主人公より一枚上手だったのかも。



そういえば、先日、
井上靖の「月の光」
読んだばかり。

こちらも、老いて子供にかえってゆく母の姿が
描かれてました。
我々の年代にはこちらのほうを
お薦めしたいですね。

若いときは全く考えもしませんでしたが(アホ)
誰もが老いてゆくのだと、最近はひしひしと実感しています。



本日のひとこと
「自然の流れをありのままに受け入れる」

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日本人スパイと中国美少女‥

最後の帰還兵、深谷義治さんの
半生を紹介した番組を見て、涙された方も
いらっしゃると思います。
(ABCのトリハダ㊙スクープ)

深谷義治さんとは、第二次世界大戦中、および
戦後、中国に潜伏してスパイ任務に従事した容疑で
中国当局に逮捕され、虐待・拷問にあいながらも
日本国の名誉を守るため黙秘を貫いたために、
20年間も過酷な獄中生活を強いられた人です。
その間、ご家族も悲惨なひどい目にあいました。

しかし、この番組を見て、とても残念でした‥

深谷敏雄さん(義治さんの次男)の著書、

『日本国最後の帰還兵 深谷義治とその家族』
集英社 2014年

を、読んだ者としては、

こんなもんちゃうって

と番組にクレームつけたいくらいです。

「日本人スパイ」、「美少女」などという、タイトルや
「壮絶な夫婦愛」なんかでまとめてしまってることに
がっかりです。

番組製作者は、本をしっかり読んでないと思う‥

本を読んで、特に印象に残っているのは
深谷さんが監獄で拷問に耐えながら
身にまとっていたボロ服。
ボロにボロを継ぎ合せた
ー原始人顔負けの服ー。

零下の寒さをしのぐため、無数のボロ布を、5重6重に
自ら縫い付けた服の厚さは3cm。
妻に2回差し入れてもらった服を20年間、一枚も破棄せず、
一枚のボロ布も捨てずに再利用していたそうです。
(困窮した家族を案じ、差し入れもほとんど返していた)

中国の公安はそのボロ服を持ち出すことを
許さなかったため(虐待の事実がばれてしまうから)、
深谷さんは断腸の思いで、ボロ服を処分したそうです‥

これが一番無念だったと思うのです。
獄中生活の過酷さを物語る、唯一の証人だったから。

正直、今までに読んだ本の中で、これほど心が揺さぶられて
涙が止まらなくなったものはなかったです。

是非、多くの日本の方に読んでもらいたい本です。


本日のひとこと
「最後に残るものは誇り」

酒飲みのお守り~来宮神社~

熱海にある来宮神社(きのみやじんじゃ)に
「酒難除」というお守りがありました。
早速、酒飲みへのお土産に(笑)。



左から二つ目が「酒難除」


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来宮神社


ところで、ユニークなお守りですよね?
後日、何気に伊豆の民話を読んでみたんですがね‥


民話「小鳥精進、酒精進」のお話。

むかしむかし、杉杵別命(すぎきべのみこと)が
かなりお酒を飲み、南豆(なんず)、河津野の原を散歩中、
ねむりこんでしまいました。

目をさますとあたりはいちめんの火の海。
酒を飲んでの不覚の眠りに後悔するも、時すでに遅し。

その時、何千、何万としれない小鳥の群れが次々にやってきて
野火の上を旋回し、濡れた羽で時雨のようなしずくをふらせて
火を消し、みことの命を救いました。
この奇蹟が永く伝えられ、毎年みことの遭難の日から7日間
酒を断ち、小鳥をとらえることが禁じられました。

来宮神社は杉杵別命を祀り、その氏子は12月27日より一週間
禁酒・禁猟を守っているということです。

菅沼五十一・岸なみ 編 『日本の民話7 遠江・駿河・伊豆編』
未来社 1974年 
より要約

そんなわけで「酒難除」のお守りがあるのですね~
そして、現在もこの戒めは守られているようですね!
来宮神社の氏子の方々は、毎年12月18日午前0時から
12月24日午前0時まで6日間、鳥料理、卵、酒は一切
断っていらっしゃるそうです。

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来宮神社の御神木の大楠 樹齢2千年


大楠については↓

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本日のひとこと
「樽を尻目に足るを知り」

樽は酒樽のことね。飲みすぎちゃだめね。

蘇民将来伝説

20150723京都1 7月23日 京都

先日、京都のホームにいる恩師に
ご馳走しようとお迎えにあがったのですが、
やや御かげんがよくなく、どうしたものか
戸惑ってしまいました。

付き添ってくれた友人がタクシーや
食事の予約をキャンセルしてくれたり
ホームの職員さんに知らせてくれたりと
落ち着いて対処してくれたので、
しばらく恩師とお話ができました。

誰と食事の約束をしたのか思い出せず、
先生が悩まれていたということを
後で職員さんから聞きました‥

次回からはお電話だけでなく、葉書も一緒に
出そうと思いました。


食事を予約していたホテルへは
友人と二人だけで行くことに。


お料理に「蘇民将来子孫也」と書かれた
紙札がついていました。

???

これは祇園祭りの災いの退散の印だそう。

由来の書かれた説明書きをいただいたので
要約しておく。

蘇民将来伝説

貧しい旅人が、
巨旦将来(こたんしょうらい : 兄)と
蘇民将来(そみんしょうらい : 弟)の
兄弟に宿を乞うた。富み栄えている兄は
断ったが、貧しい弟は、温かくもてなした。
旅人は、
「後世に疫病が流行したときは、
蘇民将来の子孫と名乗り、茅の輪を腰につけていれば
災厄をのがれられるだろう」と言って立ち去った。
その旅人こそ、八坂神社の祭神、スサノオノミコトであり、
後に疫病が流行ったとき、巨旦将来の子孫は滅び
蘇民将来の子孫は疫病をのがれ、代々繁栄したという言い伝え。



京都の街や山際を眺めながらの日本料理は大変
すばらしく、是非とも恩師にも召し上がっていただきたかった‥


友人は恩師とは面識がないのですが、
ホームにも付き合ってくれた上に、
お店の予約もしてくれて本当にありがたい良き友です‥

しかも逆に御馳走になってしまうという‥

何やってんの?ワタシ、馬鹿なの?阿保なの?頓馬なの?

本日の格言
「お会計はさりげなくすばやくスマートに」

熱海のバス&新聞



熱海を周遊する「湯~遊バス」

乗り降り自由 各観光施設入場割引特典つき 700円

明治43年に(人力で)つくられたトンネルを通り感動しました。
修復もしたことがないという頑丈さ。


20150717ataminews.jpg

熱海新聞 60円(全10ページ)。

~7月15日の記事より~
日常的な温泉入浴に高血圧の予防効果?
温泉の自宅供給を受けている市民の降圧剤内服者(30.7%)は、
供給を受けていない市民(37%)より少ない。


本日のひとこと
「夏こそいい湯につかろう」



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「火花」と熱海

20150715atami0.jpg 
熱海 7月15日 撮影



又吉直樹さんの『火花』

一気に読んでしまいました。

主人公である、お笑い芸人の徳永を、
どうしても又吉さんとして読んでしまう(笑)

相手の気持ちを察し気遣うものの、
逆にばつが悪くなってる感じとか、
人間の不器用な面にくすっとします。

個人的に面白かったのは、
徳永の師匠の神谷が、泣き止まない赤ちゃんに
向かって真剣に自作の川柳を聞かせているくだり。

共感できる部分が多かったのですが、
特に、他人を誹謗中傷する行為についての指摘。

「他人を落とすことで今の自分に安心するというやり方は
自分の成長する機会を失い続けているということ」

ネット社会で、声を大にして伝えたいメッセージですね。

笑いというものの、切なさ、空しさ、難しさについて
考えさせられました。

偶然にもワタシ、熱海に行ってきたばかりということもあり、
最後の、熱海の花火の風景が強く心に残りました。


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熱海の銀座通り

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本日のひとこと
「人間っていいよね」